気になる本とモノ
2007
一億百万光年先に住むウサギ
評価☆☆☆ 那須田淳 理論社
ファンタジーを思わせるタイトル。
でも、鎌倉を舞台にした中学三年生の恋の話です。
2007年の中学生の読書感想文課題図書だけあって、
いろんな事件が混じった大人たちの複雑な愛と、
子供たちの一途な恋がうまく展開されています。
ちょっとした出会いの中で、
淡く、あるいはひそかに相手を大切に思う素晴らしさが
いろんな場面で伝わってくるいい小説でした。
恋をつなぐ大樹の伝説や
星磨きのウサギ、
時々出てくるウサギの空想と、
「ケ セラ セラ」の歌詞がいい伏線になっています。
表紙の自転車に乗っているウサギもいい感じだし。
◆「一億百万光年先に住むウサギ」のあらすじ
恋人達が大樹を秘密のポストとして使った、
というドイツの物語を元教授の足立先生は鎌倉で実行した。
中3の大月翔太はその手紙のお手伝いをバイトにしたが、
ただ一人、手にしたのは実は、そのアルバイト先の娘で同級生のケイ。
ところが、転校生マリーが現金を盗んだ犯人にされたことで、
その疑いをはらすため協力しあうことになる。
マリーの実の祖父だった足立先生を説得してから、
2人は親密になるが、ケイ自身の出生にも秘密があった。
マリーの父親、俊彦さんと、ケイの父佐助は親友だったが、
ある女性を巡って二人を巻き込む事件があったのだ。
そんな中、ケイが突然家出をする。
実の父を探しているはず、とおもった翔太は
ある情報から、ケイを探し出すのだった。
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◆「一億百万光年先に住むウサギ」の気になる言葉
22 きっと人間というやつは、そんなふうに矛盾を抱えている生き物なのだよ
141 鎌倉・佐助川 頼朝公の幼名の佐ノ助からきているのだ
226 五年後、十年後……。僕とケイは、いったいどうなっているだろうか。僕は無意識に敏彦さんが書いた物語のことを思い出していた。
あの星磨きのウサギは、あと三十万光年も離れて暮らさなければならないのだった。そんなの僕にはちょっと耐えられそうになかった。
338 ケセラセラ なるようになるわ 先のことなどだれにもわからない