気になる本とモノ
2007
ぼくたちの砦
評価 ☆☆☆☆ エリザベス・レアード
石谷尚子 訳 評論社
2007年の読書感想文の課題図書。
高校生の部門だけにけっこう深刻でした。
中東の爆薬庫、パレスチナ。
テロや紛争が世界で最も絶えない場所ですが、
ここパレスチナで暮らす十二歳の少年が主人公の
「ぼくたちの砦」
パレスチナ側から中東の悲劇を描いた本は珍しい。
どういう暮らしを押し付けられているのか、
そして、戦場で暮らす重さがさりげない描写から
ひしひしと伝わってきました。
◆「ぼくたちの砦」のあらすじ
パレスチナに住む12歳の少年カリームは、
検問でイスラエル兵に父がさらし者にされたり、
外出禁止令で家の中に閉じ込められたり、
伝来のオリーブ畑を奪われてしまったり、
と戦時下の暮らしを続けている。
仲がよい兄ジョーニは
友だちの姉、ヴィオレットに夢中になっている。
そんな中、難民キャンプに住むホッパー、
本名サーミーと友達になり、ジャマールと3人で
瓦礫だらけの広場でサッカーができるように
石や瓦礫を取り除いていた。
そこにイスラエル軍の戦車が居座る。
カミールは廃車の中に隠れているが、
脱出するときに足を撃たれ、助けに来た兄、ジョーニに助けられる。
ジャマールはアンマンに抜け出すことになり、
ジョーニはヴィオレットと分かれるが、
残されたホッパーとカリームはまたサッカー場を作り直すことにする…
↑読んでいただいてありがとうございました。人気blogランキングに参加しています。
◆「ぼくたちの砦」の気になる言葉
5 僕の人生でやりたいことベストテン
9 死なないこと。撃たれるなら、治療できるところ。頭や背骨ではありませんように
73 おまえらのオリーブ? そんなのは過去の話。ここは入植者の土地だ。もう、ここのオリーブは摘んではならない。
87 わしが長いことかかって学びとったのは-みんな同じ人間だと認める広い心が、やつらにはないってことさ
121 この国では、なにをするにも、どこへ行くにも、必ず敵に止められる。サッカーボールで遊ぶことすらできない。 …占領される重さが伝わってきました。
133 ホッパーが爆弾のニセモノを使ってイスラエル軍をだます場面
265 勝った人が、なにもかも持っていく。 勝った人が、根こそぎ持っていっちゃうんだ
286 まだきちんと、ありがとうって言ってなかったね。ぼく、兄ちゃんのおかげで、命びろいしたよ
パレスチナの現実が分かる度☆☆☆