気になる本とモノ
2007
夜は短し歩けよ乙女
評価☆☆☆ 森見登美彦 角川書店
京都を舞台に繰り広げられる
ファンタジーのような学園小説…
「鴨川モルホー」もそうでしたが、
この「夜は短し歩けよ乙女」も
なかなか放埓な展開でして、
京都の個性的な四季が描かれています。
涼やかな「黒髪の乙女」に
片想いしてしまった「先輩」が主役でして、
いわば「外堀を埋める」日々を紹介しています。
「百年の孤独」のような浮遊の場面が
とっても美しくて、映画化してほしいなあ、と。
学生の軽いノリが楽しめるかどうかというような
笑いの軽さは好き嫌いが分かれそうですが、
直木賞や、本屋大賞にノミネートされただけの
描写が素晴らしい本です。
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◆「夜は短し歩けよ乙女」の気になる言葉
13 太平洋の海水がラムであればよいのにと思うぐらいラムを愛しております。
63 夜は短し、歩けよ乙女
83 ロレンス・ダレルという人の『アレクサンドリア四重奏』
89 「なむなむ!」とお祈りしました。これは、私が独自に開発した万能の祈り
146 「左京区と上京区を合わせてもならぶものなき硬派」という勇名を馳せた私
189 恋人いな歴四半世紀以上の男たちが女性との付き合い方を徹底的に議論する「四半世紀の孤独」
251 浅田飴は、江戸時代の漢方医、浅田宗伯というお人が考案したものです。
258 才能の貯金箱 そこには「できることからコツコツと」と書かれていた。
◆「夜は短し歩けよ乙女」のあらすじ
春の先斗町をほろ酔い気分でさ迷う「乙女」と「先輩」が
飲み比べをしたり、
ズボンを取られたり、
李白の三階建ての電車が走ったり
鯉が降ってきたり、と椿事が続く
表題作「夜は短し歩けよ乙女」。
夏の下鴨神社の古本市で乙女と同じ本を手に取ろう、
と目論む先輩が古本市の神と出会い、
何故か乙女の好きな絵本「ラ・タ・タ・タム」を巡って
李白が開いた我慢大会に挑む「深海魚たち」
秋は京都大学学園祭で起こる
パンツ総番町の韋駄天コタツと
即興劇「偏屈王」という出来事に
またも巻き込まれる乙女と先輩が出会う
「御都合主義者かく語りき」
冬は、風邪が大流行する京都で
秘薬「潤肺露」をつかって、
乙女が先輩を看病する
「魔風邪恋風邪」。
この最期に京都の空の場面が最高ですね。