気になる本とモノ
2007
インテリジェンス 武器なき戦争
評価☆☆☆ 手嶋龍一、佐藤優 幻冬舎
「ウルトラ・ダラー」の著者、手嶋さんと
「国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて 」
の著者、佐藤さんの対談集。
内輪ぼめ的な部分が気になりますが、
21世紀の日本の外交を考えるとき、
必読書の一つ、と言えそうですね。
情報収集ができなくなってきた日本が、
生き残る術を話し合っています。
なかなか迫力ある話がどんどん出てきて、
スパイ映画なみの迫力です。
◆「インテリジェンス 武器なき戦争」のあらすじ
「外交は武器を使わない戦争」
という前提の中、
「国際舞台の背後では、さまざまな情報戦が繰り広げられている。
「インテリジェンス」とは、そうした戦いに不可欠な武器なのです」
と主張したあとで、じゃあどうすれば、
ということをまじえて紹介しています。
「インテリジェンス大国の条件」
「ニッポン・インテリジェンスその三大事件」
「日本は外交大国たりえるか」
「ニッポン・インテリジェンス大国への道」
という構成ですが、
「三大事件」がいちばんリアルですね。
佐藤さんがロシアを活躍の舞台にしていたため、
まだ冷戦時代だったときのソ連を含めて、
ロシアとイスラエルの話題が多いんですが、
日本の諜報活動もなかなか優秀だったんだ、
と意外な発見もありました。
↑読んでいただいてありがとうございました。人気blogランキングに参加しています。
◆「インテリジェンス 武器なき戦争」の気になる言葉
5 インテリジェンス能力は当該国家の国力から大きく乖離しない。国力を量る上で経済力は大きな要素だ。
20 私はロシアの仕事をしていたとき、日商岩井と三井物産を非常に重視していました。
55 ロシアのインテリジェンスは英国の亜流です。そのロシアでプーチン大統領が採った政策は、伝統的なイスラムと非伝統的なイスラムを明確に分けることでした。
62 SISのホームページ あえて扉を開けておいて、そこに定期的にアクセスするアドレスに目を光らせているんだと思います
68 アメリカ人というのは、病的なほど嘘がつけないんですね-大量破壊兵器については、まったく正直に彼らは「ある」と思っていたと思うんです
75 対テロ戦争という大きなフレームの中では、まずサダムから潰す必要があったことは明白だと私は思います。
100 インテリジェンスの世界で歩留まりもありますが、長いスパンでは必ず事故が起きるということです。しかし、事故後も同じレベルの人材を遅れるような体制を作っておけば問題はない。
104 こういう物品を相手にも組織としてやっていることがわかるように送ることが非常に重要です
108 インテリジェンス活動の難しさは、情報を入手するだけでなく、それをいかに扱うかにあります。
120 インテリジェンス 「諜報」「防諜」「宣伝」「謀略」
122 自分たちがやる謀略のことは「政策広報」とか「ロビー活動」と呼べばいいんです。敵がやるものを「謀略」あるいは「情報操作」と呼ぶ。やることは同じですが、印象はずいぶん違うでしょう
134 国際法の問題が絡んでくると、総理が何を言おうと、その見解が絶対的な基準になる…ここに外務省の不思議さがありました
147 普通は当然ながら公用車、それも車に乗っている人物を特定されないように、差し込み方式でナンバープレートを替えることができるようになっているか、あるいはナンバープレートのついていない公用車です。それに加えてダミーの車を二台ぐらいあって、それらが常時待機しているのが当たり前。
161 行き詰ったら戦線を広げるというインテリジェンスの世界の定石ですよ。-行き詰った外交案件はひとまず放っておいて、思いがけない局面に布石を打つという戦略ですね
162 ディスプリンがあることは組織が機能するための不可欠の条件です
175 二つの椅子に同時に座ることはできない
186 優れたインテリジェンスであっても、優れた政治リーダーが使いこなしてはじめて価値があるということです
193 学術的な基礎体力をつけないといけません。学術的な研究と現実のインテリジェンスをつなぐことのできる専門家を育てる必要がある
198 まずコーランを読め
201 日本のジャーナリストの仕事を自嘲を込めて「焼き畑農業」と呼んでいるのです。燃え尽きるまで使ってポイなのですから。いわゆる研修、ミッドタームキャリアが、この世界には基本的にない。
204 新しい情報機関のコアになる人間を外国の情報機関の学校に留学させるのはもってのほか。