気になる本とモノ
2007
秀吉の枷
評価☆☆☆ 加藤廣 日本経済新聞社
「信長の棺」が大ヒットした著者が
書いた信長の続編の「秀吉の枷」。
上巻は本能寺の変に隠された謎、
下巻は淀殿との間に生まれる後継者
が“枷”となっていた、という話ですが、
上巻の話は「信長の棺」に書かれた話なので、
二番煎じの感じがどうしても…。
下巻についても、普通の感想、というか。
むしろ、伏線となる話として、
徳川家康が長男、信康を自害させたのは、
自分の子どもではなかったから、とか
意外なアイデアがあちこちで出てきます。
歴史ミステリーのタネがあちこちに入っていた
ちょっと不思議な展開でしたね。
でも、まずは「信長の棺」から読んでくださいね。
◆「秀吉の枷」の気になる言葉
13 逆取して順守す 軍師ホウ統の言葉 天下を取るときは道義に背いてもよい。が、取ったあとは道義に基づいて治めよ、という意味であった
47 信長に喋らせて、さも感心して見せるのが、この気難しい主人に気に入られるこつである。
102 左義長は小正月に行われる火祭りのこと。平安時代に始まった一種の悪魔払い、あるいは年占の儀式である。語源は、真言院の御修法の《三岐杖》に由来するが、この時、正月の松飾りを集めて焼くため、俗に《ドンド焼き》の名で子供たちにまで人気がある
325 大徳寺 後醍醐天皇より「本朝無双禅苑」の勅翰を賜り、五山の第一位に推されたが、このため後に足利義満に嫌われ、十刹の九位に落とされた。永享三年(一四三一)、自ら十刹の地位を辞し、厳粛な禅風を守る在野的立場を鮮明にしてきた寺である。…大徳寺はここから始まったんですね。
下巻
38 関白 百官の上奏に「関(あずか)り」、意見を「白(もう)す」という意味で関白という。
54 利休 「利(さと)きを休(やす)めよ」という忠告の意味を含んでいる。
165 日本も中国に倣って、右を上位としたから、武士の城住まいでも、本丸の次に「西の丸」が、上位者の住む場所と考えられた。
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◆「秀吉の枷」のあらすじ
秀吉の軍師、竹中半兵衛は信長の残虐さを嫌悪し、
対毛利戦の中で暗殺するよう、秀吉に言い残して死ぬ。
秀吉は信長を軽侮する一方で、
本能寺からの抜け穴つくりを信長から密かに託されたため、
抜け穴をふさぐ工夫をしておいた。
奇しくも、本能寺の変が起き、信長は抜け穴の中で憤死するが、
この事実が忍びによって家康にばれてしまい、
秀吉は大きな重荷を家康に対して持ってしまう。
(下巻から)
一方、秀吉は後継者を作るために、
醜聞を気にせずさまざま試みるが、
その中で、淀だけはなびかない。
しかし、突然、心変わりした淀だけが
子を宿すが、秀吉は自分の子ではないことに気づいている。
だが、唯一の血筋、秀次が梅毒にかかったと
誤解した秀吉は、秀次の血筋を自ら絶やしてしまう。
秀吉は絶望的な状況の中、自らの最期を迎える…